糖尿病専門外来
糖尿病の専門医、療養指導医、療養指導士の資格をもつ当院スタッフが、全力でサポート致します。
当院の糖尿病専門外来では、2型糖尿病のみでなく、1型糖尿病や妊娠糖尿病にも対応します。
また、必要な場合には外来でのインスリン導入や、外科手術前の血糖コントロールも可能です。
さらに、音声ガイド付きの血糖自己測定器や、針を刺さずにかざすだけで糖濃度をリアルタイムに測定できる機器もそろえ、インスリンポンプ療法(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion: CSII)にも対応しております。
希望の方は、連携病院でのフットケア、管理栄養士による食事指導も可能です。
糖尿病は万病のもとです。
糖尿病になると、血管が障害され、全身の臓器に影響を及ぼします。
糖尿病について基本的な知識を身につけ、病気への理解を深め、うまく付き合っていきましょう。
糖尿病(彼)を知り、生活習慣(己)を知り、健康寿命を延ばしましょう。
そして、糖尿病を“友”として、折り合いをつけながら、共に歩んでいきましょう。
「前橋日赤糖友会」 (患者会登録指導医:末丸大悟)
当院では、前橋赤十字病院の糖尿病患者会「前橋日赤糖友会」で定期的に糖尿病教室を行い、糖尿病合併症の伸展予防ならびに治療に関する正しい知識、新しい知識の習得をめざす場としています。 当院からも多くの方々が参加し、同じ病気を持つ患者さん同士の交流を深めています。
詳しい日程や内容については、当院までお問い合わせいただくか、インターネットで「前橋日赤糖友会」とご検索ください。
糖尿病の歴史について
糖尿病の歴史はとても古く、紀元前1550年頃のエジプトで記された世界最古の医学書「エーベルス・パピルス」に、尿が多量に出る病気として糖尿病を思わせる記述が残されています。
本邦では「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」で有名な藤原道長(966~1027年)が最も古く、口渇、多飲、失明、背中の皮ふ感染症を認めて死去したことが「小右記」に記されております。
糖尿病とは
糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他に分類されますが、10人に9人以上は,食事の欧米化や自動車の普及に伴い急増してきた2型糖尿病に該当します。
また本邦では、中高年の4人に1人が2型糖尿病かその予備軍に該当しています。2型糖尿病は遺伝的な因子の他、環境的な因子(食生活の乱れ・運動不足など)が相まって発症します。
中でもメタボリックシンドロームのような内臓型肥満は最もリスクが高く、インスリン抵抗性(後述)の状態となります。
インスリンは膵臓の細胞から出るホルモンで、食事で得たブドウ糖を肝臓・筋肉・脂肪組織などの中に取り込んで、血液中の糖分量を正常に保つ働きをします。糖尿病はその働きが不十分となり血糖値が常に高い状態となる代謝障害であり、インスリンの出る量が少ない状態をインスリン分泌不全、インスリンは出ているがうまく働かない状態をインスリン抵抗性といいます。このインスリン抵抗性は内臓脂肪の蓄積により起こります。
合併症について
糖尿病の慢性合併症として、下記が挙げられます。
- 細い血管の障害
- 太い血管の障害
- その他
1.細い血管の障害
糖尿病特有の合併症で、通常は、「し」・「め」・「じ」の順で起きてきます。
「し」:神経 | 神経障害(足の指先・足の裏から始まります。) |
---|---|
「め」:眼 |
網膜症(もうまくしょう)
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「じ」:腎臓 |
腎症(じんしょう)
|
2.太い血管の障害
動脈硬化ともいい、糖尿病でなくとも高血圧症、脂質異常症、喫煙、肥満などでも起こりえます。
糖尿病があるとより危険度が上昇します。
「え」:壊疽(えそ) | 血流が悪く、神経の障害もあると、傷に気付かないうちに細菌が入り、 足が腐ってしまうことがあります。
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---|---|
「の」:脳梗塞 | 脳の血管がつまったり、狭くなったりして血流が悪くなります。 |
「き」:狭心症・ 急性心筋梗塞 |
心臓の筋肉(心筋)に血液を送り酸素と栄養素を供給する冠動脈が、動脈硬化などの原因で狭くなったり、閉塞したりして心筋に血液が行かなくなることで起こる疾患です。 |
3.その他
足病変(白癬菌症(水虫)、胼胝(たこ)、潰瘍(かいよう)、2.の壊疽(えそ)など)・
認知症・がん・骨粗しょう症・歯周病・うつ病などの疾患
糖尿病は残念ながら治る病気ではありませんが、
合併症を予防することで健康な人と同等の生活の質(QOL)を得ることができます。
また、本項で詳しく触れるのは控えますが、これら慢性合併症の他に、
糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群、低血糖症、感染症などの急性合併症も起こりえます。
糖尿病と感染症について
血糖値が高くなると(特に血糖値が200 mg/dL以上)、体内に入ってきた細菌やウイルスに対して戦う白血球の働きが弱くなり、抵抗する力が弱くなります。そして、細菌やウイルスによる感染症にかかると、治りにくく重症化しやすくなります。
また、感染症にかかると、血糖値も上がりやすくなりますので、普段内服・注射されている薬を“継続して大丈夫か”、“継続しないといけないのか”、“どのように対応すればよいのか”を知っておく必要があります。これを「シックデイへの対応」と呼びます。
当院では、個々の患者さんに応じて、どのように対応するとより重症化せずに過ごせるかをご説明いたします。
治療について
治療は正しい知識をもった上で、食事、運動に気を付けていくことが、薬物療法よりも重要とされています。まず食事は腹7~8分目が重要です。また、「よく噛んでゆっくり食べる」、「野菜を最初に食べる(ベジタブルファーストとも)」、「間食を控える」等も大切です。4つの「A」〔アルコール、味の濃いもの(塩分の多いもの)、脂っこいもの、甘いもの〕には特に気をつけましょう。お米、パン、麺類、イモ類などの炭水化物の食べ過ぎは血糖値が上昇しやすいので適量にするよう注意しましょう。
次に運動です。運動は、脳卒中、心筋梗塞、認知症、がん、骨粗鬆症の予防になります。食事を開始して一番血糖値が上がりやすい1〜2時間後に運動することがおすすめです。なかなか運動する時間がとれない方も多いと思います。隙間時間で運動することができないか普段の生活を振り返ってみてください。運動と一言で言っても、有酸素運動(ウォーキング、自転車、水泳など)、無酸素運動(筋肉トレーニング)、運動前後のストレッチなどが挙げられますが、週3回以上が有効とされています。歩数や体重の記録をつける習慣も効果があります。運動は長続きしにくいものです。三日坊主を10回繰り返せば1カ月になります。自動車保有率トップの群馬県は運動不足になりがちですが、例えば中央前橋駅と西桐生駅を結ぶ上毛電鉄で実施されている「サイクルトレイン」などを通して、楽しみながら運動する機会を作っていくのも良いと思います。
インスリン注射は最も古い治療薬ですが、桐生市が制定された年、新前橋駅が開業した年と同じ1921年にカナダのトロントで発見されました。その後、様々な経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬(インスリンとは異なる注射薬)なども登場してきました。数年前からは、24時間連続して間質液の糖濃度を測定できるCGM(持続血糖モニタリング)が登場してきました。また最近では、毎日血糖測定のため指先に針を刺して痛い思いをしなくても、リーダーという小さな読み取り機器をかざすだけでリアルタイムに糖推移がわかるFGM(フラッシュ血糖モニタリング)が登場しました。このような機器の登場で、1日の血糖推移を線グラフで確認できるようになり、個々の患者さんにあった治療が行えるようになってきました。
糖尿病とうまく付き合っていくために、日常生活上の重要なことをまとめますと、
A:4つの「A」
アルコール、味の濃いもの(塩分の多いもの)、脂っこいもの、甘いものを控えましょう。
B:Body Weight(体重)
適正な体重を保ちましょう。
C:Cigarette Smoking(たばこ)
禁煙しましょう。
D:Diet(食事)
バランスの良い適量な食事を心がけましょう。
E:Exercise(運動)
適度な運動を心がけましょう。
F:Foot(足)
日々、足に傷がないか確認しましょう。
G:Good Sleep(良い睡眠)
日々の睡眠も大切です。
(いびきが大きい、呼吸がとまっているなどあればご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群のチェックを考慮いたします。)
H:歯みがき
歯周病にならないようにしましょう。
I:一歩一歩の気持ち
いきなり理想的な規則正しい生活を送ることは難しいです。
いっきに全部できなくても大丈夫です。一歩一歩でかまいません。
私たちが全力でサポート致します。
文責:末丸大悟
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〒379-2143 群馬県 前橋市新堀町1038-1
診療時間
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